社会科学

村上泰亮
『反古典の政治経済学:進歩史観の黄昏』

1992、中央公論社、重(上)四六版、364P、初(下)四六版、556P、旧所有者印あり、カバー、帯
1,000円

社会・人文科学の通念、経済発展論の常識への根本批判の書。 「けっきょく二十一世紀への解は、進歩主義の早急な復活ではありえないし、これまでの保守主義的見解への固執(たとえば古典的な経済自由主義とナショナリズムの再発見)でもない。さまざまな進歩や正義の主張が競争するメタ自由主義が必要なのであり、それを支えるルールは、われわれの言ってきた意味の≪理解≫を通じて作られる以外にない。最近日本では、共生というスローガンが流行っているようだが、共生は結果である。地球を満たす人類が共生にたどりつくための基本条件が≪理解≫であることは、実はこの本での長々しい議論によらずとも、心ある人々には既 »続きを読む

マフムード・マムダーニ
『アメリカン・ジハード:連鎖するテロのルーツ』

2005、岩波書店、初、カバー、帯
2,000円

「本書が生まれるきっかけは、≪9/11≫から数週間後、ニューヨークのアッパーウエストサイドにあるリヴァサイド教会でのトークだった。当時、すぐにムスリムと分かる氏名を持っていれば、≪9/11≫以後のアメリカにおいてはイスラームが政治的存在であることを思い知らされることになった。アメリカではカンパラとダーバンで行われたトークが、私に文化を政治化する今日的傾向、その文脈において、冷戦時代、イスラームの政治化、テロの政治化が捏造されたことを理解させるきっかけとなった。・・・≪9/11≫と政治的テロの分析は文化から政治へと焦点を移さなければならないということだ。私が読者に提供したいの »続きを読む

ライト・ミルズ
『第三次世界大戦の原因』

1959、みすず書房、初、地少汚れ、新書版、255P、村上光彦訳
1,500円

政治・軍事・経済にまたがる権力機構との関係から第三次世界大戦の原因を探る。 「戦争について考察することは人間の条件について考察することである。なぜなら、第三次世界大戦がどんな仕方で起ころうとしているかをみても、人間の条件はいまやきわめて明瞭に表示されているのだから。この戦争のための準備が、いまや世界の指導的諸社会の枢要な特色をなしている。この戦争の予想は、世界現実についての公的定義から生じてくる。これらの定義にのっとって、パワー・エリートは決定し、また、決定しそこねる。公衆と大衆は宿命論的に受けいれる。知識人は洗練し、また、正当化する。第三次世界大戦にむかっての漂流と突進と »続きを読む

カール・マンハイム
『変革期における人間と社会』

1971、みすず書房、重、函(少痛み)、菊判、486P、福武直訳
1,000円

自由主義的民主主義社会の危機についてマンハイムが論じた主要著作の一つ。 「われわれの社会が単なる不穏にではなく急激な構造の変化に直面している、という点を念頭におくことは、極めて重要である、何となれば、この点を認知することによってのみ、それを防止する手段も保証されるからである。危険地帯にある西洋社会は何故崩壊の段階を経過しつつあるかということが知られる場合はじめて、今なお比較的平和を享受している諸国にとり、諸事象の将来の傾向を民主主義的な計画によって統制することを学びとり、かくて独裁、隷従、蛮行等のごとき否定的な過程面を回避するという希望が、生ずるのである。著者にとって、事態 »続きを読む

ハロルド・ラスキ
『現代革命の考察』

1953、みすず書房、初、函、帯、全体的に痛みあり、菊判、522P、笠原美子訳
2,000円

戦後日本の社会科学に多大な影響を与えた、政治学者ハロルド・ラスキによる20世紀の時代精神を論じた重要な書。 「われわれは、人類の近代史において恐らく最も深刻なるべき革命的変革期の真只中に立っている。その本質において、ローマ帝国の没落や、宗教改革に伴う資本主義社会の誕生を見たような時代、あるいは、1789年おける如き、市民階級の劇的な権力獲得史の最終章にも比すべき深刻な意義を擔うものであることを認識せぬ限り、われわれはこの変革期の時代の内的な性格を理解し得ぬであろう。 この変革は思想家たちのつくり出した革命ではない。もっとも、思想家たちのうちには、この革命の来るべきを予見し、 »続きを読む