『写真:いま、ここに』

1969、美術出版社、カバー(背少焼け)、初、A5版、211P

5,000円

写真に関する小辞典。
「写真のリアルな再現的描写は、新たな物体感の獲得を促した。また、不変不動で持続的な写真の凝視は、さまざまに流動する意識を裏側にもった肉眼ではとうてい得られない見え方を提示した。写真の物体感とこの凝視は、共働してわれわれに存在の不可思議を教える。こうして、ある写真家は、実体と写真の間を反射し合う何ものかの中から、存在の意味へ志向する視点を形成してゆく。その視点から生まれた写真は、なお一層くりかえしくりかえし、存在の意味を問いかけてくるのである。そして、認識の最も素朴な原点からの出直しを、要求してくるのである。」
大辻清司「写真の特性と表現」-物体・存在・その意味へ 2―