市川浩
『中間者の哲学:メタ・フィジックを超えて』

1990、岩波書店、初、カバー、(経年少シミ)、帯、四六版、300P

1,500円

他者を排除しない、・・異次元の思考は可能か。
「≪中間者の哲学≫は、あくまでも断片としての中間者を基盤において、中間者を超える領域をさぐり、ふたたび中間者にかえることである。その全過程が中間者の行為あり、思索であり、中間者を定義するものでもある。・・・中間者は、全体でなく、欠如であるからこそ全体化を指向し、部分としては過剰であるからこそ全体化を指向する。インテンション(指向=意志)は≪断片≫である中間者の特徴である。・・・トランス・フィジックは、人間という中間者(パスカルのいう≪考える葦≫)を基本にすえた哲学であるが、ヒューマニズムではない。ヒューマニズムが人間中心主義という一種の世俗化された神学であるかぎり、アンチ・ヒューマニズムといってもいい。人間は特権的存在ではないにもかかわらず、中心化という業をになった存在である。この業は人間の存在そのものであるからさけえない。・・・」