加藤周一
『日本文化における時間と空間』

2007、岩波書店、重版、カバー、帯、本体少痛み、四六版、246P

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≪今=ここ≫に生きる日本文化の本質を抉る。「・・・日本社会には、そのあらゆる水準において、過去は水に流し、未来はその時の風向きに任せ、現在に生きる強い傾向がある。現在の出来事の意味は、過去の歴史および未来の目標との関係において定義されるのではなく、歴史や目標から独立に、それ自身として決定される。・・・≪鬼は外≫の背景は、おそらく、強い集団帰属意識である。集団は日常的な生活空間であるから、強い集団帰属意識は、当事者にとってその生活の場所=≪ここ≫が世界であることを、意味するだろう。鬼は世界の外(異界)に住む。別の言葉でいえば、集団の外部は、内部の延長としてではなく、内部とは異質の、別の価値体系が支配する空間として理解される。・・・日本社会が特殊なのは、高度の工業化が伝統的な家族やムラを分解した後にさえも、そこで作り出された意識や習慣(の一部)が、水準を異にする集団や組織に引き継がれ、そのまま生きのびて来たということである。・・・かくして日本では人々が≪今=ここ≫に生きているようにみえる。その背景には、時間においては≪今≫に、空間においては≪ここ≫に集約される世界観があるだろう。世界観は文化によって異なる。すなわち時間と空間に対する態度、そのイメージや概念は、文化の差を超えて普遍的なものではなく、それぞれの文化に固有の型をもつにちがいない。・・・この本は日本の思想史について私の考えてきたことの要約である。ここまで来るのに、私は実に多くの方々から教えを受けた。・・・」