姜尚中・吉見俊哉
『グローバル化の遠近法:新しい公共空間を求めて』

2001、岩波書店、初、カバー、帯、四六版、230P

00円 (在庫なし)

グローバル化が世界および日本へもたらす地殻変動の意味、そしてその中での新しい公共空間の在り方を模索する。

「・・・現在われわれが目撃しつつあるグローバル化と≪ナショナリズムの逆流≫は、決して冷戦の終わりとともに突如として浮上してきたわけではないことがわかるはずである。それはすでに戦間期の≪危機の二十年≫のなかに胎動しつつあったのだ。

われわれは、このようにして≪危機の二十年≫の間に胎動しつつあった新しい知と実践、社会システムの地政学的布置を≪二十世紀空間≫と名づけていくことにしたい。・・・各主権国家間の公式的な平等性を基礎としながらも、強力な覇権構造を内包したこのシステムの中心を担ったのはアメリカであり、冷戦体制期のソ連影響下の社会主義圏ですら、このアメリカを基軸とするシステムへの対抗システムとして組織されていたものでしかなかったというのが、その基本の視点である。二十世紀システムの誕生は第一次世界大戦を起点としており、冷戦期の一九五〇、六〇年代に最も安定を見ることになる。

われわれは、こうした時代認識を共有しながらも、≪二十世紀システム≫を≪二十世紀空間≫と言い換えることで、政治経済システムと多様な人々によって生きられる文化や生活世界の両方の間にある矛盾を孕んだ奥行きのある関係に目を向けていきたいと思う。・・・」