木村喜久弥
『ネコ-その歴史、習性、人間との関係-』

1966年、法政大学出版局、初、函、帯

2,000円

「・・・ネコは、私たち人生や処世上における悪い喩えによく用いられる。たとえば、<ネコなで声><ネコばば><ネコ舌><ネコの目><ネコ背>など、ひとつとしてよい喩のものがないけれどもネコが、古今東西をとわず、穀倉を鼠害から守る番人として、あるいは人間の心に慰めをあたえる愛玩物として、われわれ人間のよき伴侶であったこと-将来もそうであろう-は否定できない。それ故にこそ、世界のいたるところに、ネコに心からの愛情をかたむけつくす、いわゆるい愛猫家がいるのである。・・・ネコはイヌのように、飼主に媚びたり、御世辞を使うようなことをせず、非社交的、不遜で貴族的である。愛猫家は、そのようなネコの性格を好む。外向的、独裁者的、M的、そして最近の流行語でいう、ドライな性格の人がイヌを好むのにたいし、愛猫家には、内向的で孤独を愛し、W的、そしてウエットな性格の人が多いようである。愛犬家には男性や政治家が多いのにたいして、女性や文化人に愛猫家が多い。・・・」

(「ネコを愛する人たち」より)