クロード・レヴィ=ストロース
『構造・神話・労働』

1979、みすず書房、初、カバー、四六版、188P、大橋保夫編、三好郁朗・松本カヨ子・大橋寿美子訳

00円 (在庫なし)

1977年国際交流基金の招きで来日した折の講演や対談の記録を集め構成した書。『民族学者の責任』、『構造主義再考』、『神話とは何か』、『労働の表象』、『未開と文明』、『民族学者のみた日本』。

「自己のアイデンティティーを自覚した諸民族が、欧米人の行為によって起こった障害と、数十年もしくは数百年にわたって蒙った苦難の克服を急ぐのあまり、われわれ民族学者とその出身国とを一まとめにして拒否するとしても、それは当然であり、健全な態度です。しかし、私たちにとっては、慰めとなる認識いや確信があります。10年後、20年後、1世紀もしくは2、3世紀あとのことかもしれませんが、これらの社会の人びとも、私たちと同じように、自らの根源、ルーツとの接触をとり戻す必要、自分の過去を再発見する必要を感じることになるでしょう。他のいかなるユマニスムにも似ず、他のすべてのユマニスムを補完する自分たち独自のユマニスムの形態をはっきりさせる必要を感じるでしょう。そのとき、どこにそれを求めることができるでしょうか。昔ながらの慣習や、物品や、技術ではありません。そうしたものは性急に捨て去られて、安っぽい西洋の物品や、西洋の科学に置きかえられているでしょう。求めるものが見出されるのは、民族学者の著作の中です。われわれ民族学者は、この人たちの子孫の精神的健康のために、またその独自性維持のために、必要なものを救うべく、艱難辛苦に耐えて研究を遂行するのです。」
(『民族学者の責任』より)