詩画集『夢のそとで』
詩:黒田三郎、銅版画:堀井英男

昭和47年、プリント・コレクターズ・サロン、限定50部、函(少ヤケ・イタミ)
銅版画 9葉

3万円

真昼の原っぱに

人影はなく

忘れられた三輪車が一台

その上を

ゆらゆらと

紋白蝶がとぶ

激しい草いきれのなかで

思うことは

何もない

むなしく滅びたもの

かつては血と汗にまみれたもの

地から出て地にかえったもの

すべては夢のように

ただ

紋白蝶が

もつれてとぶばかり