加藤周一
『私にとっての20世紀』

2,000、岩波書店、初、カバー、帯(少焼け)、四六版、247P

1,500円

戦争、ナショナリズム、歴史、社会主義などのキーワーズとともに、自らの足跡を重ね合わせ、20世紀とはどういう時代であったかを加藤周一が読み解く。

「・・・20世紀は、十九世紀型の民族国家よりもっと小さな単位で民族がそれ自身のアイデンティティを強調する傾向へいくと同時に、民族国家の枠を超えたもっと大きな国際的な組織のほうへ向かっていく傾向と両方の面をもちました。

二十世紀の歴史は、戦争をなくすことに失敗し、大きな戦争が絶えず起こりました。戦争に至らないまでも、ところによっては鋭い社会的対立・緊張を生み出す形で作用している。ある意味では経済的効率がそのために高まったという面もある。しかし、経済は社会生活とか文化から切り離しては考えられないから、経済規模の地球化というのは、同時に個々の地域の文化を抑圧して潰していくように作用したと思うのです。そこで分裂傾向が強まっていくから、それを防ぐために統合がいいという動きや考え方が今度は強まってきます。事態は重層的です。・・・」