ベネディクト・アンダーソン
『想像の共同体』

1987、リブロポート、初、カバー、帯、四六版、288P

1,500円

国民を≪想像の共同体≫として捉え、そうした共同体が人々の心の中にどのように生れ、世界に普及したかのか、ナショナリズム研究の古典。

「無名戦士の墓と碑、これほど近代文化としてのナショナリズムを見事に表象するものはない。これらの記念碑は、故意にからっぽであるか、あるいはそこにだれがねむっているのかだれも知らない。そしてまさにその故に、これらの碑には、公共的、儀礼的敬意が払われる。これはかつてまったく例のないことであった。それがどれほど近代的なことかは、どこかのでしゃばりが無名戦士の名前を≪発見≫したとか、記念碑に本物の骨をいれようと言いはったとして、一般の人々がどんな反応をするか、ちょっと想像してみればわかるだろう。奇妙な、近代的冒涜!しかし、これらの墓には、だれと特定しうる死骸や不死の魂こそないとはいえ、やはり鬼気せまる国民的想像力が満ちている。これこそ、かくも国民が、その不在の住人の国民的帰属を明示する必要をまったく感じることのない理由である。〔そこには〕ドイツ人、アメリカ人、アルゼンチン人・・・以外、だれがねむっていよう。」