荻野恒一
『現存在分析』

1969、紀伊国屋書店、初、帯(少切れ)、新書版、202P

1,000円

現象学的方法で病者の志向性を捉える現存在分析とは?。
「現存在分析とは、人間についての学問の一つである。しかもこれは、一つの経験科学であって、哲学ではない。だが他方、経験科学とは、かならずしも自然科学を意味しない。いな、むしろ現存在分析は、自然科学に対応するような別種の経験科学である。

ではなぜ二十世紀の今日、自然科学と別種の経験科学が必要なのか。それは、人間には自然科学が解いてくれない側面があり、しかもこの側面を科学的に解明していくことは、今日きわめて現実的な課題だからである。

とすると、自然科学が解明してくれない人間の側面とはなにか。それは、人間だけに具わっている側面なのか。そうである。そもそも現存在という特殊なことばを用いるのは、この人間の側面を明らかにするためなのである。そうでなければ、このような聞きなれない術語のかわりに、人間分析といってもかまわなかったのである。

ではつぎに、なぜ現存在分析が、自然科学では明らかにされないような人間の側面、すなわち現存在の根本特性を明らかにしてくれるのか。それは、現存在分析が、自然科学とは別の方法を用いるからである。いまこの方法を、先取りして現象学と呼んでおこう。

ところで現存在分析学者というと、大部分の人たちが精神医学畑である。わたしも例外ではない。それはなぜなのか。また現存在分析ということばよりも、精神分析ということばの方が、一般になじまれているが、いったい精神と現存在とは、どのようにちがうのか。また、精神分析と現存在分析とは、精神医学の領域では、同一の病者をとりあつかってきたのか。・・・」

『現存在分析』(1979、紀伊国屋書店、新装版(四六版)、202P  1,000円もあり