鶴見祐輔
『米國々民性と日米関係の将来』

1922、岩波書店、初、函(痛み)、本体背焼け、経年シミ、記名、蔵書印あり、四六版、169P

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米国とは?、日米関係のあり方はどうあるべき?を論じた書。
「・・・幾回の平和会議を開いてみても、軍備制限会議を開いても、この会議の内容を為すべき個人の思想を変革せざる限りは、吾々は戦争を避けることは出来ない。如何にデモクラシーの世の中となってもデモクラシーの内容を構成する個人の思想が真実なる四海同胞の理想でない間は、戦争を絶滅さすことは不可能である。・・・第一に吾々は今日の教育制度の根本に国際精神に深い根拠を植え付けなければならない。・・・今少し高い道念が此の世を支配するようにならなければ真実の平和は到来しないのである。・・・吾々は今日に於いては『世界的に考えよ』という時代に到達した。国と国との間の関係として考えるよりよりも更に一歩進んで吾々は世界同胞であるという、即ち人間らしき人類本然の思想に立返らなければなるまいと思う。・・・
日米関係の当面の問題として、彼我両国民は大に鑑みて反省しなければならない。第二の問題としては、吾々は両国国民の交際の範囲を拡げ、民衆と民衆の交際ということにしなければならない。第三の問題としては、吾々は亜米利加という、日本という観念から脱却して、人類文化建設の思想に根ざした国交を始めなければならぬと思う。陽は己に登っている。眼ある者は正に見るべし。」