構成:松田行正
『眼球譚/月球譚』

1992、牛若丸、初、カバー(縁少焼け)、限定200部、非売品、見返しに覚書小さく書込みあり、B6版、160P

00円 (在庫なし)

「眼に執着するのは精神分裂病者の特徴のひとつだとよく言われる。彼らは他者の視線を異常に気にして、不安や恐れを抱きながら同じ表現を繰り返しおこなう。私も赤面恐怖症ぎみで、他人の視線がどっと押し寄せてくる気がすることがある。そこで思いきり眼に執着して絵画の中の女性の左眼ばかりを集めてみました。19世紀中葉に写真が一般化して以来絵画は従来の毅然たる態度は維持できなくなっていった。クールベやマネの写真的リアリズム絵画に批判は集中し、ポール・ヴァレリーにして≪生のままの真実は虚偽以上に虚偽」と言わしめた消息が席巻していた。そこに抽象表現も加わって、恐らく人類の美術史上一番おもしろい世紀に突入していったといえる。20世紀の美術史は極論すれば≪眼貌表現の展開の歴史≫ともいえる。・・・・」