加藤周一
『雑種文化:日本の小さな希望』

1957、講談社、初、新書版、204P

1,000円

日本文化の特徴を雑種性と捉えた論考を軸に、長旅から帰国した著者が、教育、文学、社会などにつき、文化全体から眺め論じた評論で構成された書。

「西ヨーロッパで暮らしていたときには西ヨーロッパと日本を比較し、日本的なものの内容を伝統的な古い日本を中心として考える傾きがあった。ところが日本へかえってきてみて、日本的なものは他のアジア諸国とのちがい、つまり日本の西洋化が深いところへ入っているという事実そのものにももとめなければならないと考えるようになった。ということは伝統的な日本から西洋化した日本へ注意が移ってきたということでは決してない。そうではなくて日本の文化の特徴は、その二つの要素が深いところで絡んでいて、どちらも抜き難いということそのこと自体にあるのではないかと考えはじめたということである。つまり英仏の文化を純粋種の文化の典型であるとすれば、日本の文化は雑種の文化の典型ではないかということだ。」