中島岳志
『中村屋のボース:インド独立運動と近代日本のアジア主義』

2005、白水社、初、カバー、帯、四六版、340P

1,000円

新宿中村屋の≪インド・カリー≫の背後にある隠されたドラマ、20世紀前半のインド独立運動の指導者R・B・ボースの生涯を近代日本のアジア主義との関連で論じた書。
「R・B・ボースは生涯にわたって、アジア諸国の連合による植民地支配からの解放を旨とするアジア主義の主張を説いた。しかし彼にとってのアジア主義は、単なる植民地解放闘争という政治的課題ではなく、多一論的信仰に基づく共生社会を構想する思想的課題であった。R・B・ボースにとって、≪アジア≫とは単にユーラシア大陸の非ヨーロッパ地域という地理的空間ではなく、西洋的近代を超克するための宗教哲学そのものであり、アジア諸国の植民地闘争は、近代主義を打破するための思想戦であった。
≪アジア≫には、この物質主義に覆われた近代社会を打破し、再び世界を幸福で包みこむという使命があると、R・B・ボースは確信していた。・・・」