子安宣邦
『≪宣長問題≫とは何か』

1995、青土社、初、カバー、帯、小口に少しみ、四六版、249P

1,000円

著者が10年来行ってきた江戸思想への新たな方法的視点の構築をめぐる問題提起。
「・・・≪宣長問題≫とは、あえて簡潔にいってしまえば、ほかならぬ近代日本において自己(日本)言及的言説として強力に、たえず再生する宣長の国学的言説の問題である。・・・≪日本≫の自己同一性にかかわる形で日本人が自らに言及するとき、そこには常に宣長がいる。宣長の国学的言説は、≪日本≫の自己同一性にかかわってなされる日本人の自己言及的な言説としてたえず近代日本に再生する。宣長の畢生の大業として称賛される『古事記伝』とは、古事記注釈を通して≪日本≫という内部、あるいは≪日本人≫という同一性を形成する作業であったとみなすことができる。なかんずく『古事記伝』は≪やまとことば≫という≪国語≫神話の形成に重大な形でかかわっている。・・・≪宣長問題≫という視角からする宣長の再考は、私に近代以後の自覚に立ってのこうした問題の展開を促すものでもあった。」