ガヤトリ・C・スピヴァク
『サバルタンは語ることができるか』

1998、みすず書房、初、カバー、帯、上村忠男訳、四六版、145P

2,000円

従属的地位にあるサバルタンの女性について語ることの可能性を論じた現代思想の傑作とされるスピヴァクの代表的な著書。

「この論文では、ことがらの性質からして必然的に迂回路をとって、まずは西洋において主体を問題化しようとしてなされているさまざまな努力についての一つの批判から始め、つぎに第三世界の主体が西洋の言説のなかでどのように表象されているかという問いへ進んでいくことになる。その過程で、主体のさらにいっそうラディカルな脱中心化にむけての可能性は、実際にはマルクスとデリダのうちに潜在しているのだということを示唆する機会をもつことになるだろう。また、ことによると驚かれる向きもあるかもしれないが、西洋の知的生産活動は多くの点で西洋の国際経済的な利害と共犯関係にあるという論証に訴えることにもなるだろう。そして最後には、西洋の諸言説とサバルタンの女性(従属的地位に置かれている女性)について(あるいは代わって)語ることの可能性との関係性について、従来のものに取って代わるひとつの新たな分析を提供することになるだろう。そのさい例としてはインドのケースをとりあげ、(サティー[sati]と呼ばれる)寡婦殉死の慣習をイギリスが廃止したことによってもたらされた異例にパラドキシカルな状況を詳細に論じることになるだろう。」