ローラ・フェルミ
亡命の現代史『二十世紀の民族移動1,2』

1972年、みすず書房、初、カバー、四六版、267P+268P

2,000円

アインシュタイン、アドルノ、マルセル・デュシャン、トーマス・マン、パウル・ティリッヒ等、二十世紀の亡命知識人の大きな波の背景を展望。

「著者ローラ・フェルミは原子物理学者エンリコ・フェルミ夫人である。本書は移民の一人である彼女が自ら作成した1900名に及ぶ知識人移民の背景、苦難に満ちたアメリカへの道程、そこでの同化と挫折、異質な文化交叉から生じた業績の飛躍的発展、その現代的意義、未来の展望をクリアーに描いた。・・・ヨーロッパ諸国につくられた数々の自発的な難民救済組織、彼らを受け入れたアメリカの知識人の素早い対応、プリンストン大学高等学術研究所の貢献、すぐれた自由主義者アルヴィン・ジョンソンの特異なニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチ、そこに設立された≪亡命者大学≫≪高等学術自由大学≫の姿が生き生きと描き出される。ヨーロッパの衰退とアメリカの興隆―その文化的連関の考察は、新しい文化の結実の要件を示すものとして欠くべからざるものであろう。」