ルース・ベネディクト
『文化の型』

1973、社会思想社、初、カバー、帯(背焼け)、四六版、本体天少経年シミ、443P、米山利直訳

2,000円

「・・・社会を考察する際、現代において最大の課題となるのは、文化の相対性を正確に把握することである。社会学の領域、心理学の領域においても、このことの持つ意味こそ基本的なことである。そして諸民族の接触や、西欧文明の変化してゆく規準に対して現代的考察を行うのに大いに必要なのは理性的で科学的な方向づけなのである。・・・文化の相対性を認めることは、そのこと自身に価値があるのであって、その価値が、絶対主義者の哲学のそれである必要はない。それは常識となっている考え方に挑戦することであり、その中で育った人びとには激しい不快感を抱かせる。しかしそれが悲観論をひきおこすのは、伝統的な公式を混乱に陥れるからであって、それが本質的に困難なものを持っているためではない。新しい意見が、常識的な考え方にとり入れられるならば、それはまた良き生活を支えるものとして信頼されるようになるだろう。わたしたちはその時、ともに存在できてしかも等しく立派な根拠を探っている生活様式―それは人類が自らのために、生活の素材の中から創り出したものであるが―を希望のよりどころとし、寛大であるための新しい基盤となるものとして受け入れることによって、一層現実的な社会的信念に到達すると考える。」