マルセル・ブリヨン
『幻想芸術』

1968、紀伊国屋書店 初、カバー(少汚れ)、小口(少シミ)、菊判、496P、坂崎乙郎訳

1,500円

芸術における幻想的なものを考える上での必読書。
「幻想という主題は、外的なフォルムや創造的な着想などで固定されない柔軟性を備えている。それゆえ、誰もこの主題を完全に探りつくそうなどといった錯覚や先入観をもつことはできまい。とくに現代芸術はシュールレアリズムのおかげで、幻想に着目すべき地位を与えたのだし、いわゆる伝統的な芸術よりもいっそう複雑かつ多様な意味をふくむさまざまな造形を経て、幻想を絶え間なく変えてきたのである。だからこそ今日では、あらゆる国ぐにに“古典的な”幻想と呼ばれるものとはまったく別種の幻想―まさに生成の過程にある幻想が存在することになろう。幻想は決定的に評価・測定された過去のデーモンではない。この事実をみとめる者こそ絶えざる注意と倦むことのない警戒を怠ってはならないのである。なぜなら、幻想とは人間の思想の根源と深い契りを交わしており、この意味では永続し、同時に間断なく変容する存在であり、人間精神の生成と変貌とをもっともよく反映する鏡にほかならないのだから。」
(序より)