ワルター・ベンヤミン
『複製技術時代の芸術作品』

1965、新潮社、初、カバー、本体少時代焼け、菊判、252P、野村修訳

2,000円

ベンヤミンの芸術論(目次:歴史哲学テーゼ、パリー十九世紀の首都、フランツ・カフカー没後十周年を迎えて、など)

「歴史の広大な時空間のなかでは、人間の集団の存在様式が総体的に変化するにつれて、人間の知覚の在りかたも変わる。人間の知覚が組織されている在りかた―知覚を生じさせるメディア―は、自然の諸条件に制約されているだけでなく、歴史の諸条件にも制約されている。・・・知覚のメディアの変化に現に立ち会っているぼくらは、この変化がアウラの凋落として把握されるとき、この凋落の社会的条件を示すことができる。いったいアウラとは何か?時間と空間とが独特に縺れ合ってひとつになったものであって、どんなに近くにあってもはるかな、一回限りの現象である。・・・アウラを崩壊させることは、≪世界における平等への感覚≫を大いに発達させた現代の知覚の特徴であって、この知覚は複製を手段として、一回限りのものからも平等のものを奪い取るのだ。」