E・フロム
『フロイトの使命』

1959年、みすず書房、初、新書版、少経年焼け、佐治守夫訳、185P

1,000円

フロイトの精神分析の起源を、真理と理性に対する情熱とそのパースナリティに求め、論じた書。

「・・・真理と理性は、常識や大衆の意見とは対立するものである。大衆は都合のよい理屈に頼ろうとし、物事の表面だけから得られる見解に頼る。理性の働きとは、この表面をつきぬけて、その背後にかくされた本質に達することである。それは客観的に、即ち個人の欲求や恐怖によって決定されることなしに、ものごとや人間を動かしている力が何であるかを明確にすることである。この際には、人は、真理によって邪魔されたり、邪魔を憎む人達からの―たとえ軽蔑や嘲笑はなくとも―孤立には耐えるだけの勇気が必要である。フロイトは著しいまでにこの能力をもっていた。・・・」