肖像 Ⅰ ――北川健次氏のために
イシミカワの実のこぼれる黄金のせつなに鱗翅類の繭が割られ
少年は掬われた水のように生誕する 透かされた静脈の内部で
非在のアオサギが目覚める時 さらされた少年の上腕は蒼穹を孕む
魚たちを漁る裸樹のように少年の掌はひとしきり水の翳りの重さに
揺らぎ ひれやうろこのない魚たちの夢をすべらせる 細長い
螺施を下るオルガンの風に促されて 少年の指は羽繕う嘴のように
胸を擦過する 非在のアオサギの棲む少年の肖像に一本の
見えない腐刻画の線が引かれる
肖像 Ⅰ ――北川健次氏のために
イシミカワの実のこぼれる黄金のせつなに鱗翅類の繭が割られ
少年は掬われた水のように生誕する 透かされた静脈の内部で
非在のアオサギが目覚める時 さらされた少年の上腕は蒼穹を孕む
魚たちを漁る裸樹のように少年の掌はひとしきり水の翳りの重さに
揺らぎ ひれやうろこのない魚たちの夢をすべらせる 細長い
螺施を下るオルガンの風に促されて 少年の指は羽繕う嘴のように
胸を擦過する 非在のアオサギの棲む少年の肖像に一本の
見えない腐刻画の線が引かれる