丸山眞男
『日本政治思想史研究』

1952、東京大学出版会、初、カバー(背焼け痛み)、本体時代焼け、菊判、363P

1,000円

≪近代意識≫の成長という観点から徳川思想史を叙述した丸山眞男の代表作。

「維新の身分的拘束の排除によって新たに秩序に対する主体的自由を確保するかに見えた人間は、やがて再び巨大なる国家の中に呑み尽され様とする。≪作為≫の論理が長い忍苦の旅を終って、いま己の青春を謳歌しようとしたとき、早くもその行手には荊棘の道が待ち構えてゐた。それは我が国に於て凡そ≪近代的なるもの≫が等しく辿らねばならぬ運命であった。徳川時代の思想史が決して全封建的ではなかったとすれば、それと逆に、明治時代は全市民的=近代的な瞬間を一時も持たなかったのである。・・・・ライト・モチーフになっているのは封建社会における正統的な世界像がどのように内面的に崩壊して行ったかという課題である。この課題の解明を通じて私は広くは日本社会の、狭くは日本思想の近代化の型、それが一方西欧に対し、他方アジア諸国に対してもつ特質を究明しようと思った。」