愛猫の大往生の折に刊行した書。
ハンサムでお医者ぎらひのトム君のせつない失禁「センセエガキタア」
「シャム猫のトムはハンサム・ボーイ。気は強いし、人なつこいし、好奇心もはなはだ旺盛。ただ一つの弱点は、神経がこまかすぎるのか、小さな物音にもきわめて敏感なことがあり、臆病そのものにみえる時があること。とくに獣医に対して異常なほどの恐怖心を有すること。国領動物病院の院長さんが往診のためにやって来ると、その声が外からきこえただけで震えあがり、逃げまどう。やっとつかまえると、こはいかに、すでにしてこちらは膝は奴の臭い小便で濡れている。家の中のあちこちも、こういう時の猫のお小水は、特に臭いのです。・・」(『猫の歌』より)