吉田秀和
『セザンヌ物語』

1986、中央公論社、初

00円 (在庫なし)

「セザンヌの芸術で、『調和の幻想』以来の問題意識のはっきり形成されるずっと前から、私をひきつけ、そうして以上の追及を続けてゆく過程でも、私から離れなかったものは、彼の芸術のもつ≪精神的な品位≫、あるいは彼の画面から放射されてくるdignityの強い手ごたえであった。どうして、セザンヌの絵には堅牢で、犯しがたい品格があるのか。・・・近代的パースペクティヴの美学、その不可分のアシンメトリーの構図を解消しても、なお精神の勝利の刻印と呼ぶほかないような作品群が、ここに成立している。それは、どうしてできたか。」