多田富雄
『免疫の意味論』

1993、青土社、初、カバー、帯、本体三方少しみ、四六版、236P

1,000円

≪非自己≫と≪自己≫を区別し、個体のアイデンティティを決定する免疫論。
「・・・免疫的≪自己≫とは何か、≪非自己≫とは何か、と問いつめてみると、明快な答えは出てこない。分子論的解明が進めば進むほど、≪自己≫と≪非自己≫の境界は曖昧になってくる。しかし、このファジーな自己は、それでも一応連続した行動様式を維持し、≪非自己≫との間で入り組んだ相互関係を保っている。その成り立ち、行為、崩壊の様相を探ってゆくことは、同じくファジーな個体の生命を理解する手掛かりになると思われる。・・・生命論というほど大げさなものではないが、個体の生命というもっと高次のシステムの持っている手口の一部をのぞいて見たようにも思う。・・・このファジーな≪自己≫という超システムに、無意味な思いを抱かれることがあろうか。」