ライト・ミルズ
『第三次世界大戦の原因』

1959、みすず書房、初、地少汚れ、新書版、255P、村上光彦訳

1,500円

政治・軍事・経済にまたがる権力機構との関係から第三次世界大戦の原因を探る。
「戦争について考察することは人間の条件について考察することである。なぜなら、第三次世界大戦がどんな仕方で起ころうとしているかをみても、人間の条件はいまやきわめて明瞭に表示されているのだから。この戦争のための準備が、いまや世界の指導的諸社会の枢要な特色をなしている。この戦争の予想は、世界現実についての公的定義から生じてくる。これらの定義にのっとって、パワー・エリートは決定し、また、決定しそこねる。公衆と大衆は宿命論的に受けいれる。知識人は洗練し、また、正当化する。第三次世界大戦にむかっての漂流と突進とは、いまや現代の感受性の一部をなし―そして、われわれの時代を明確に特徴づけている。 ・・・この探究的試論において、私は、目前に迫っている時期の歴史の範囲内において、第三次世界大戦がどのように起ろうとしているかを見いだしたいと思う。私はまた、だれだか見わけのつくグループの男女がそれについてなにごとかをなしうるかどうかを、またなしうるとすれば、かれらがだれであるかを、そして平和があるべきだとすればとすればかれらがなにをなさねばならないかを、見さだめたいと思う。私はパワー・エリートにも民衆一般にも呼びかけずに、現に進行していることにおおむね気づいており、第三次世界大戦の準備のことを考えていて、そのことで不安になりつつある人たちに呼びかけるものである。この人たちの不安をより大胆な考察へと転化できればよい、というのが私の希望である。この人たちがこの転回を行えるように助力するのが、私の目標なのである。・・・」