上野千鶴子
『家父長制と資本制:マルクス主義フェミニズムの地平』

1990、岩波書店、初、カバー、本体少経年染み、四六版、330P

1,500円

構想10年、著者渾身の書。
「フェミニズムの社会理論は、近代批判から出発した。性差別は、≪近代≫のただ中にあった。それは≪近代≫に≪あるはずのない≫もしくは≪あってはならない≫ものどころか、それなしには≪近代≫が成り立たない構造的な要因として、組み込まれていた。それは≪前近代の残滓≫でもなければ≪近代の不徹底≫でもなかった。フェミニズムはこの近代的な性支配のしくみを、構造的に解明しようとした。 フェミニズムは近代が産んだ思想だが―その限りで、マルクス主義やフロイト理論が近代の思潮であるのと同じである―同時代批判の理論として成立した。フェミニズムを近代主義と等置する人々は、ただこの事情に対する無理解を表明している。フェミニズム理論の多様な錯綜は、≪近代≫をどう解釈するかをめぐって展開している。」