アントニン・レーモンド
『私と日本建築』

1967、鹿島出版会、初、函(背少焼け)、四六版、243P、三沢浩訳

00円 (在庫なし)

レーモンドによる日本建築に関する講演や論文をまとめたもの。
「・・・日本以外のどこの文明が、美しくすることは、すなわち、不要なものを捨てさることであると、示したであろうか。単純化と、無駄を捨てさることと、昇華させることこそ、趣味の人のいう優雅といえる。宗匠の家と、労働者の家の違いは、前者が単に、構造や平面の明瞭さを充分に考えたところにある。すべては、直接の必要に応じた結果であり、材料であり、あるいはその精神でもある。無は常に、明瞭であり、また純粋なものである。不要なものを除き、物の形、本質および空間の声を聞くことができるのである。西欧の建築をそれにくらべると、驚くべき粗末さをはっきりあらわしている。最も偉大な時代においても、野蛮さは、かくしようがない。現代でも、極端な外観上の見栄とか、行き過ぎた求め方とかが、依然、大きな対照をなしている。

すべてを取り去った時、残る本質と原理とが、日本の魅力の源である。・・・」