E.O. ライシャワー
『日本近代の新しい見方』

1965、講談社、初、帯、新書版、219P

1,000円

歴史学者であり駐日アメリカ大使としてのライシャワーによる日本近代化論。
「・・・特殊な地位にある日本が持っている過去百年間の歴史は、特別の興味に価します。高度に近代化したただ一つの非西洋国家が、日本であることを考えると、その近代化の歴史は、現在近代化を図っているほかの非西洋諸国にとって、とくに意義あるもののように思われます。

日本は、西洋的な文化の伝統を持っていなかった点で、非西洋諸国のほうに似ていますし、また近代化が急激に行なわれ、しかも、自然に進化していく過程によらず、むしろ模倣によって近代化した点でも、非西洋諸国に似ています。さらに日本は、人口のわりあいには天然資源に恵まれていないという点でも、多くの非西洋諸国のほうに似ているといえます。したがって、西洋の国よりも、むしろ日本の近代化の経験のなかに、ほかの非西洋諸国が学び取ってよい、はるかに多くのものが含まれているはずで、その意味で、日本の近代化は、これらの諸国にとって、成功と失敗の例を兼ね備えた絶好の≪教科書≫となるべきものです。」