古書&アート作品

歴史思想集別冊、丸山眞男・加藤周一対談『歴史意識と文化のパターン』

1972、筑摩書房、裏表紙、最終ページ少ヤブレあり、16P
00円 (在庫なし)

「加藤:ぼくはこんどの丸山さんの解説を読んで実におもしろかった。丸山さんが≪古層≫という言葉でいっていることは、持続低音として続いているというわけでしょう。主旋律は時代によって違う。それはたいてい外からのインパクト、まあ簡単にいえば、仏教と儒教と西洋思想ですね、それとの接触から出て来る。しかし、持続低音はずっと同じ調子で続いている、という考えでしょう。・・・ぼくは非常にうまい比喩だと思う。日本文化史のすべての面について、そういえるのじゃないかと思うんです。 だから、主旋律というか、はっきり表現された意識的な世界観は外国思想とのぶつかり合いで出てくるのだが、≪古層≫としての持 »続きを読む

鶴見和子
『デューイ・こらいどすこおぷ』

1963、未来社、初、カバー(少焼け、痛み)、菊判、262P
1,500円

アメリカのコモン・センスを代表する思想家ジョン・デューイの自身の見方の変容を社会学者の鶴見和子が語る。「デューイは、これまでの哲学者のように、精神と物質、主観と客観等、哲学者があたまの中からつくりだしたかんねんから出発することをやめようと提唱する。そのかわりに、ふつうの人が、毎日つきあたる日常の粗い経験(gross experience)から出直そうという。わたしたちが、つらいとかたのしいとか、苦しいとかこころよいとかいう感じをもって、じかに外界をあじわうことから始まる。苦しみやつらさをとりのぞくために、設計をたてる。そして、道具(それはものであってもいいし、またコトバであ »続きを読む

鶴見祐輔
『米國々民性と日米関係の将来』

1922、岩波書店、初、函(痛み)、本体背焼け、経年シミ、記名、蔵書印あり、四六版、169P
00円 (在庫なし)

米国とは?、日米関係のあり方はどうあるべき?を論じた書。 「・・・幾回の平和会議を開いてみても、軍備制限会議を開いても、この会議の内容を為すべき個人の思想を変革せざる限りは、吾々は戦争を避けることは出来ない。如何にデモクラシーの世の中となってもデモクラシーの内容を構成する個人の思想が真実なる四海同胞の理想でない間は、戦争を絶滅さすことは不可能である。・・・第一に吾々は今日の教育制度の根本に国際精神に深い根拠を植え付けなければならない。・・・今少し高い道念が此の世を支配するようにならなければ真実の平和は到来しないのである。・・・吾々は今日に於いては『世界的に考えよ』という時代 »続きを読む

ベンジャミン・バーバー
『ジハード対マックワールド』

1997、三田出版会、初、カバー、帯、四六版、445P
00円 (在庫なし)

分裂と収斂が同時進行するパラドキシカルなグローバル世界の診断書。 「・・・毎日の新聞をすみずみまで読み、第一面にでてくる民間人の大虐殺や、ビジネス欄で情報スーパーウェーの仕組みや通信事業の合併による経済性などの記事を読み、水平線の360度をくまなく眺めてよく考えれば、われわれの世界と人生がウイリアム・バトラー・イエーツの言う人種と魂という二つの不滅なもののあいだに押し込められていることに誰でも気づくだろう。人種の不滅は部族の過去を反映し、魂の不滅は世界一体の未来を予想している。しかし、われわれの世俗の不滅は堕落し、人種は不満の象徴にすぎず、魂は不当な要求をする身体の大きさに »続きを読む

藤田省三
『天皇性国家の支配原理』

1966、未来社、初、カバー
00円 (在庫なし)

「明治以来の近代日本において、≪天皇≫の語の意味連関は、実に複雑多岐にわたっている。むろん、あらゆる政治的象徴は、それが取り上げられる政治的状況と、それを操作する政治的勢力の企図如何によって全く逆の意味内容を表象することすら屢々である。しかし、≪天皇≫観念の多義性は、行論のうちに明らかになるように、全く同じ政治的状況のもとで同じ政治的支配者の中に、同時に主観的真実として存在しているというてんで、まさに「万国に冠たるもの」があった。象徴としての≪天皇≫は、或は、≪神≫として宗教的倫理の領域に高昇して価値の絶対的実体として超出し、或は又、温情に溢れた最大最高の「家父」として人間 »続きを読む