古書&アート作品

トーマス・クーン
『科学革命の構造』

1971、みすず書房、初、カバー(少焼け)、本体経年少焼け、中山茂訳、四六版、198P
1,000円

「科学における進歩とは何か。世界観の変革は、いかにして起るか。≪パラダイム≫概念を武器として、未開拓のテーマたる≪科学革命≫を鋭く分析し、コペルニクスからボーアまでの科学の歴史に新しい展望を与える。パラダイムとは広く人々に受入られている業績で、一定の期間、科学者に、自然に対する問い方と答え方の手本を与えるものである。思考の枠組としてのこのパラダイムを打壊し、自然についての異なった見方を導入することこそ革命にほかならない。」

多田富雄
『免疫の意味論』

1993、青土社、初、カバー、帯、本体三方少しみ、四六版、236P
1,000円

≪非自己≫と≪自己≫を区別し、個体のアイデンティティを決定する免疫論。 「・・・免疫的≪自己≫とは何か、≪非自己≫とは何か、と問いつめてみると、明快な答えは出てこない。分子論的解明が進めば進むほど、≪自己≫と≪非自己≫の境界は曖昧になってくる。しかし、このファジーな自己は、それでも一応連続した行動様式を維持し、≪非自己≫との間で入り組んだ相互関係を保っている。その成り立ち、行為、崩壊の様相を探ってゆくことは、同じくファジーな個体の生命を理解する手掛かりになると思われる。・・・生命論というほど大げさなものではないが、個体の生命というもっと高次のシステムの持っている手口の一部を »続きを読む

グレゴリ・ジルボーグ
『医学的心理学史』

1958、みすず書房、初、函(少焼け)、数ヶ所マーカー跡あり、菊判、403P、神谷美恵子訳
2,000円

ヒューマニスティックな精神から精神医学の歴史を紐解く名著。 「同じ人間でありながら、精神病者を各時代の人々はどのように捉え、取り扱ってきたのか。人間とは何か、人間の精神はどのように働くのか、人間の生きた心理を扱う、精神医学の基礎としての医学的心理学の歴史をヒューマニズムの視点から考える。医学的心理学と精神医学の誕生と発達の物語は内科学や外科学の歴史の要求する方法とは全く異なったやり方を必要とする。・・・内科学や外科学を語るには医者たちとその努力を物語ればよいが、精神医学のほうは文化の発達や法律学、神学、哲学などのある面の探究を必要とする。」

J. D. バナール
『歴史における科学』

1956、みすず書房、初、鎮目泰夫、長野敬訳
00円 (在庫なし)

「歴史は、過去においては、人類の意図と、人類の行動と、そしてまた、意識的にめざした目的とは非常に異なるものとなってしまったばあいの方が多かった事態のなりゆきとの記録であった。歴史は、ぼんやりとしか推量できぬ諸力の作用の場であり、しかもその力は、人間をもてあそぶ超越的存在物であるとあまりにたやすくみなされていた。われわれがそれ以上のものを歴史のなかに見いだすにつれ、また、それらの諸力や諸力がしたがわねばならぬ法則についてなにかを理解しはじめるにつれ、歴史の諸事件は意識的な計画と実行との結果となってゆくであろう。エンゲルスもいうように、社会の科学の発見ととに、人類の真の歴史は始 »続きを読む

村上陽一郎
『日本近代科学の歩み』

1968、三省堂、初、帯、本体痛みあり、新書版、191P
00円 (在庫なし)

西欧と日本という東西二つの異質文化がぶつかり合う接点としての科学の移入の歴史を論じた書。 「日本が、科学を技術と考え、自然をコントロール手段とみなし、日本人自身の奥底にある独特の自然との付き合い方には手をつけずに、問題解決、目的達成の道具、器械として西欧科学を処理できる時代は、ようやく終わりつつある。科学・技術は、現在では、われわれ一人一人を、いやおうなく縛る思考上の枠組みとして、自然に対する西欧的な≪なぜ≫の追及方法を強制しているばかりではない。それに付随してもたらされた社会機構が、科学・技術を自らの都合の良いように利用する、という現象、つまり科学する主体の側が、造り上げ »続きを読む